

『日本の仮想通貨の現状はどうなの?』
『なんで今の仮想通貨税制は最悪って言われての?』
『いつ仮想通貨の税制が良い方向に変わるの?』
今日はこんな『仮想通貨税制』に対する不安や疑問に答えます。
※法令上の呼称が『仮想通貨』から『暗号資産』に切り替わりましたが、まだまだ一般的に『仮想通貨』という呼称のほうが広く浸透しているため、この記事では『暗号資産』ではなく『仮想通貨』としています。
仮想通貨投資・トレードされている方であれば、把握されている方は多いと思いますが、仮想通貨の税制を一言で言えば「世界最“恐”」です。
背景があるのかな?
日本政府は投資家保護を謳いながら、実際のところは何を考えているのでしょうか。
- 「仮想通貨に投資する人からガッツリ利益を搾取したいのか」
- 「本当に仮想通貨に投資する人の利益を守りたいのか」
- 「ただ単に政治家のパフォーマンスなのか」
実際のところはどうなんでしょうか。
今回の記事では、そこを深掘りしていきたいと思います。
今日の話の流れは以下の通りです。
- ぶっちゃけ日本の仮想通貨税制はどうなの?
- 現在の仮想通貨の税制が変わらない(変えられない)本当の理由
- 仮想通貨の税制が変わるタイミングは 20●●年▲▲月
- まとめ
それでは早速、現在の日本の仮想通貨税制から振り返ってみましょう。
ぶっちゃけ日本の仮想通貨税制はどうなの?
まず、日本の仮想通貨の税制からおさらいします。
結論から言うと、現在はビックリするくらい仮想通貨投資家にとって不利な税制になっています。利益をあげている仮想通貨投資家だけではなく、損失を出している(出した)仮想通貨投資家にとっても、不利な状況が続いているのです。
① 最高税率55%(所得税45%、住民税10%)の総合課税
② 損益通算ができない
③ 損金の繰り越し控除ができない(3年間)
(※仮想通貨間の交換時の非課税、少額使用時の非課税なども議論されていますが、話を分かりやすくするため、今回は上記の①~③の3つに絞っています。)
① 最高税率55%(所得税45%、住民税10%)の総合課税
仮想通貨の取引で得た利益は雑所得に分類されたままですので、 雑所得は総合課税の対象となり、給与所得などほかの収入と合算した額に応じて税率が決まります。つまり、最高で税率が55%かかってしまうことになります。
これはつらいですよね。やっとの思いで仮想通貨投資で生まれた利益が最大で半分以上持っていかれてしまうのです。
※以下の表が『所得に応じた課税内容』です。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円超 | 45% | 479万6,000円 |
ちなみに、FX(外国為替証拠金取引)や株取引などによる収入は、他の所得と分離して税額が計算する「申告分離課税」。税率は所得の額に関わらず、一律約20.315%です。
② 損益通算ができない
続いては「損益通算ができない」です。
2018年から長きにわたって、仮想通貨市場は低迷し、損失を多く出してしまった方もいるかもしれませんが、雑所得に分類される仮想通貨は損益通算ができません。
不動産や株式など、ある銘柄や投資先で利益が発生し、かつ、異なる銘柄や投資先で損失が出てしまった場合、利益から損失を差し引き、利益分にかかる税金を減らすことができます。
例えば、『不動産で得た利益+200万円』、『株で出た損失 -100万円』の場合、『200-100=+100万円』となり、この+100万円に対して、税金がかかります。※下図参照

しかし・・・・・
この「損益通算」が、仮想通貨にはできないのです(※仮想通貨間の相殺は可能)。
例えば、『株で出た損失 -100万円』、『仮想通貨で得た利益 +200万円』の場合、『-100+200=100万円』とはなりません。損益通算ができないため、仮想通貨の利益+200万円に対して税金がかかります。※下図参照

これが仮想通貨税制のつらい点の1つです。
大袈裟な話、『株取引で1億円の損失、仮想通貨取引で1億円の利益、の場合、―1億円(株の損失)+1億円(仮想通貨の利益)=0なので、税金はかからない』とはならないんですよね。。。
③ 損金の繰り越し控除ができない(3年間)
現在の状態を一言でいうと「儲かった時はガッポリとりましょう」、「損したときは自己責任やから知らんぷりしとこう」の状態なんですね。
仮想通貨は、残念ながら、ある年にどれだけ損失を出してしまったとしても、翌年に繰り越すことはできません。

いかがでしたか。日本の仮想通貨の税制がどれだけ「世界最“恐”」なのか、お分かりいただけたかと思います。
投資家保護を謳いながら、投資家保護どころか投資家を完全に崖から突き落とそうとしていることがご理解いただけたかと思います。
しかし、日本政府はなぜ、世界各国の仮想通貨税制に遅れを取る政策をそのままにしているのでしょうか。そこには、必ず思惑や理由があるはずです。
それでは次の章で「現在の仮想通貨が変わらない(変えられない)本当の理由」について述べたいと思います。
現在の仮想通貨の税制が変わらない(変えられない)本当の理由
推測その①:日本政府「仮想通貨への投資(投機)はせず、頼むから日本株を買って」
2013年4月以降~、日本銀行の黒田総裁は、安倍首相の号令のもと、 景気刺激・デフレ脱却を目指し強力な金融緩和策を掲げました。
日本銀行は量的・質的金融緩和を導入し、 2%の物価目標を2年程度で達成すると表明しました。しかし、これまで3回にわたる黒田バズーカを発動した結果、 2020年現在、物価上昇2%という目標は未だに達成されていません。

そして、日銀はETFを年間約6兆円購入していますが、日銀の保有残高は2019年3月末時点で28兆円を超えています。
これらのことから、日本市場に『栄養ドリンク』『ドーピング』のごとく、莫大なお金を注ぎ込んだのにも関わらず、日本株の株価が下がることは、日銀・安倍政権にとっては絶対に避けなければなりません。日経平均の株価の価格によっては、安倍政権に大打撃となることは言うまでもありません。
そして、日本株の買い支えに大きな役割を担う機関投資家や個人投資家などの国内勢の資金が日本の株式市場以外にむかうことも、安倍政権・日銀にとっては避けねばなりません。
日本の株式市場の海外勢・国内勢の保有割合は、 年度によってかわりますが、おおよそ海外勢が3割前後、国内勢が7割前後となっていますので、やはり国内勢の資金というものは日本株式市場にとって大切であることが分かります。
現在のFX(外国為替証拠金取引)や株取引などの「申告分離課税」が「仮想通貨」でも実現することになれば、上記の日本の株式市場から仮想通貨市場への資金移動・トレード/投資家の投資先の切り替え等は避けられません。日本株の価格も今の状態を保つことすら危うくなるでしょう。
これが、安倍政権・日銀にとって『現在の仮想通貨税制を変えない(変えられない)理由』推測:その① です。
推測その②:日本政府『仮想通貨という市場(戦場)に簡単な気持ちで参入せんといて』
平成31年、金融庁より「資金決済に関する法律等の一部改正」という資料が公開されています。その中では「ICOへの対応」「過剰な広告・勧誘への対応」「暗号資産の流出リスクへの対応」などの指針を出しています。

しかし、現状として、一攫千金を夢見て、ビットコイントレードを始めたり、まだまだICO詐欺などで大きな損失を出したりする投資家は多いのが現状です。1000万以上の投資をした仮想通貨が電子ゴミになってしまったという人はまだまだザラにいます。
そのため、こういった現状から、“あえて”『仮想通貨税制による大きなデメリットを残したままにする』ことで、新規に仮想通貨市場に参入してくる投資家を抑制・敬遠し、「仮想通貨は詐欺が蔓延」「ビットコイントレードなどによるボラの高さ」「ハッキングなどで資産を失う」といった危険な現状から被害者をできる限り減らしたい、という日本政府の思惑も(もしかしたら)あるかもしれません。
これが、安倍政権・日銀にとって『現在の仮想通貨税制を変えない(変えられない)理由』推測:その② です。
推測その③:日本政府『日本は財政難なんや。どこからお金をもらおうか・・・そや仮想通貨や。』
インターネット以来の革命と言われている『仮想通貨・ブロックチェーン』。仮想通貨とブロックチェーンは表裏一体の関係といわれていますが、『表裏一体』というその言葉通り、仮想通貨が盛り上げれば、ブロックチェーン産業にとっても追い風となります。
『ブロックチェーン産業』という日本の『新たな飯の種』を国をあげて取り組むべき時に、なぜ 仮想通貨・ブロックチェーン産業を育てるような税制・政策を取らないのでしょうか。
過去の話を振り返ります。
1995年、インターネットが商業化され『IT革命』といわれた年、経済・社会に大きな変革が生まれました。しかし、結果的に日本の対応・対策は結果的に大失敗に終わりました。
※GAFA:グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル
※BATH:バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ
「出る杭は打たれる」というその言葉通り、ホリエモンなどのIT長者と呼ばれる人達を政府・メディアは圧力をかけ、そして叩きまくりました。あの時代に生きていた子供たちは少なからず「あんな風にはなりたくない。嫌われたくない・・・」と思ったはずです。
この過ちから学ぶことは、新しい芽が出たときは、『とがった(目立つ)存在・組織』に対して圧力をかけるのではなく、『新たな飯の種』になる『存在・組織』を大切に育てるべきなのです。過去の苦い経験から理解できているはずなのに、日本政府はやろうとしないのです。いや、今それができないのです。一体なぜでしょうか。
それは、今の日本という国の財政状況です。
これだけ借金があるのに、『増税』どころか『税負担を軽く』するなんて、安倍政権・日銀にとっては考えられないのです。しかも、『少子化』『高齢化』などの国の課題に関係ない所での『仮想通貨税制の優遇』はもってのほかです。2019年10月に消費税が8%→10%に段階的に引上げされましたが、様々なところで反対意見があり、安倍政権にとっても少なからずダメージを受けることになりました。
簡単に言えば、今の安倍政変・日銀は『どこからでもいいから、できるだけ早く、かつ、できるだけお金を集めたい』というのが本音なのです。
おそらく、日本が今のような長く続くデフレ経済で、借金まみれではなかったならば、仮想通貨税制の改正はスムーズに進んだはずです。
これが、安倍政権・日銀にとって『現在の仮想通貨税制を変えない(変えられない)理由』推測:その③ です。
次の章では、『仮想通貨の税制が変わるタイミング』を予想します。
仮想通貨の税制が変わるタイミングは20●●年▲▲月
前置きが非常に長くなりましたが、仮想通貨税制が変わるタイミングについて予想します。
その時期は、安倍首相の自民党総裁任期満了の年の翌年の4月と予想します。
その理由は『現在の仮想通貨の税制が変わらない(変えられない)本当の理由:推測その① 』で述べた「株を買い支えなければならない」理由が消えるからです。推測②、③の理由も関係していますが、推測①が一番関連性が高いと考えています。
安倍首相が政権交代することになれば、これまでのアベノミクスの政権方針がなくなるわけですから、日銀(黒田総裁)もこれまでの大規模金融緩和の方針を継続する可能性は極めて薄く、現在の金融政策も転換せざるをえなくなります。
その結果、日本株式市場からの資金移動に対する圧力が『今よりも減る』ことは間違いありません。 大規模金融緩和の終わりを告げる時が、仮想通貨税制も切り替わる時となり、日本政府による日本株の買い支えのスタンスは今よりも落ち着くはずです。
ただし、安倍首相の自民党総裁任期満了は令和3年9月末となっていますが、安倍首相はNHKの討論番組で「総裁選連続4選について、頭の片隅にもない」と全否定していますが、(仮に)安倍首相が4選を果たし、任期が延期となった場合は、仮想通貨税制の変更は、まだまだ先になるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
現在の日本の『仮想通貨税制の現状』、『仮想通貨税制が変わらない理由』、『仮想通貨税制が変わる時期』について予想しました。
仮想通貨への関わり方や投資額や利益額によって、個人なのか法人なのか等、様々なアプローチ方法があります。そして、できるだけ早く『仮想通貨税制』が投、資家や日本という国にとって有益なものとなり、将来的に日本人や日本企業の技術の発展・利益に直結する・繋がることが大切ではないでしょうか。
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